ハーモニカ

下のお家から
無我夢中で練習するハーモニカが聴こえる



私が階段を下りると音色がやむ。
窓から顔をだし
ハーモニカを振りながら

「コニーちゃん！ハーモニカふけるよ、ありがとう！」

「すごいね！ふいてみて！」

照れながら首を横にふる。
いつも聴こえてるけどね。

「じゃぁ、我慢しとくから、今度一緒に練習しよう！」

「うん」


吹いてる子は今年小学校に上がったばかりの　月の名をもつ女の子


私は去年の誕生日に、その子と2つ上のお姉ちゃんにハーモニカをもらった。
3年前沖縄に来て、はじめて出来たお友達。

ある日、その姉妹が部屋に遊びに来た。
お姉ちゃんはPCに、
その子はくれたハーモニカに夢中。

「○○、ハーモニカ好き？」

その子はハニカミながら、うんと答えた。

「今度、一緒に吹こうね。」

彼女にハーモニカをプレゼントしようと決めた日だった。




先日その子の誕生日にハーモニカをあげた。

小学校にあがれば、音楽の授業で学校のハーモニカを使うだろう。
でも
学校のハーモニカでは
あの日、部屋で吹いた楽しさは思い出せないかもしれない。

しばらくすると
本当に、あの日のハーモニカがいなくなる日が訪れ、
引き出しのすみっこで何年もの間、静かにたたずむ事になるだろう。


だけど
大人になって
ふとそのハーモニカを手に取った時に思い出してほしいと思う。


あの日の楽しさとこんなお姉ちゃん達がいたことを。



お月様、
おたんじょうび、
おめでとう。