音と珈琲のお部屋 cafe&bar「音屋」。
浦添牧港でムジカは今日もお留守番。
誰か遊びに来ないかなぁ。
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あれから40年…
(YNB) 月日が過ぎ 『名もなきバー』の事は 記憶の片隅にも残らなくなっていた。 そんな澄み切った初夏の日の午後、 日課の散歩へ行く為、玄関で杖を取り出してたら、 目の前を配達荷物を持った業者が通って行った。 真っ白い箱を抱えていた。 40年前の記憶が蘇る。 重い扉が音を立てて開きだす。 あの白い箱とあの初老の男性の事。 あの時、皆はすぐに忘れてしまったかもしれない。 でも私はどうしても気になり 実は次の週、皆がいないのを見計らって 私はマスターに聞いていたのだ。 「ねぇ、マスター。あの箱無いけど、どうしたの?あの人取りに来た?」 マスターはポーカーフェイスを保とうとしてるみたいで その週は聞く事ができなかった。 笑顔でうなずくだけ。 次の週も。 私の好奇心は時間の経過で収まる所か増長し タイミングを見計らって何度も聞いた。 ようやくマスターが観念したように笑いながら 「仕方ないですね、今日は店じまいです。シャッター降ろすの手伝ってくれませんか?」 と早々に店を閉め始めた。 お店に2人っきり。 「では…」 私はこれから始まる物語に息をのんだ。 (コニー) マスターの両の手は皺が幾筋も寄って、髪の毛はすっかり真白。 生涯をお酒と夜のために捧げた男だ。 秘密が無いはずがない。 そう、わたしたちはちょうどあのおじいさんと同じくらいの年齢になっていた。 「あの日、結局あの箱を朝まで取りにいらっしゃらなかったんです。 どうしようかと思ったのですが、そのままにして私は、店を閉め始めました」 喋るのが苦手なマスターは、何度も口ごもる。 わたしはそんなマスターを待つことを心得ている。 これも、年月の成せる業だ。 「1週間後だったんです。 あの箱を取りにいらしたのは、おじいさんではなく お孫さんでした。祖父が永眠しましたと、挨拶されたんです。 ちょうど店にいらした翌朝のことだったみたいです。 おじいさん、ほうぼうに形見わけのつもりで箱を置いて行ってたらしくて、 でもそれを置いて行った場所が、なんというか、ちょっと変わっているんです」 ほら、うちだって、初めていらしてたじゃないですか、とマスターは言った。 そうだ、おじいさんにゆかりのある店ならともかく、 『名もなきバー』にとっては初めての客だったはずである。 いったい、どんな形見だったんだろう? (園) 「マスター…開けたんですか?」 慎重に聞く私の質問に さっきとはうってかわって 顔中の皺をくしゃくしゃにしながら笑い、 「…はい、開けました。」と、マスターは言った。 「何が…?」 「…ご存知ですか?あたりすぎる当たり付きチョコレート…」 「はい?」 「小さい頃にはやった、あのチョコレート… そのチョコレートの当たりが入ってたのです。しかもたった1枚だけ。 なんて名前でしたっけ…あ、そうそう!」 マスターがまた思い出したように笑う。 (コニー) そう、そうなのだ 箱には「あたりまっせ」の当たりが入っていたのだ。 (YNB) PR |
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プロフィール
HN:
MUSICA
年齢:
17
性別:
女性
誕生日:
2008/01/06
職業:
店長代理
趣味:
翻弄
自己紹介:
気ままな日々に喜びを。
毎日20時から ひっそりお留守番。 お酒はもちろん 自家焙煎珈琲や エスプレッソ ナポリピッツァ トリッパ 自家製スコーンに季節のジャムで こっそり夜カフェ&バー始動中。 場所:浦添牧港 目印:深緑のミニクーパーと丸大スーパーさん 気が向いたらおこしやす。
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